解説12「大徳寺塔頭 龍源院」

解説08の大徳寺塔頭、瑞峯院の近くにある、いつでも鑑賞できるもう一つの枯山水の庭があるのが、ここ龍源院。ここには4箇所に庭があります。

最初の「滹沱低(こだてい)」は狭い場所を明るくするような石庭。マンションのベランダなどに応用できるかもしれません。

その先に広がるのはきれいな楕円形の島のある「一枝坦(いっしたん)」という庭。ここには樹齢700余のサザンカがあったのが、昭和55年に惜しくも枯れてしまったので、石庭としてリメイクしたようです。すっきりと雑味がないところが特長だと思います。

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方丈の裏庭は、もうひとつの大きな庭があって、ここはこの寺の建立(西暦1504年頃)後につくられた今から約500年前の庭です。作者は絵師で造園もおこなった「相阿弥」と伝えられていますが、はっきりとした文献はないとのこと。

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この庭は広い苔一面の海に見立てたところに、奥の方に石組みあります。しかもその石組みは真ん中の須弥山(仏教における世界の中心)が大きく右に傾いています。これは意図的であるようで、この傾きのアンバランスが石組み全体に動きを生み出し、手前の添え石などの位置と呼応しているようです。苔の美しさに圧倒されて石のバランスまではなかなか気持ちが及ばないのですが、一度そのように眺めてみることをお薦めします。

さて、4番目の庭は、壺庭として有名な「東滴壺(とうてきこ)」。これはこの庭の調査をしていた重森三玲氏に同行していた氏のお弟子さんの鍋島岳生(なべしまがくしょう)さんがつくったもの。昭和33年の作。なんとも言えない風格があるのでこんなに新しいとは思えません。

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指差して(いいね!して?)いるような石のまわりの波紋は今まさに広がっていくように見えます。この小さな場所を生かしきっているのは、縁側や渡り廊下の下までも砂を敷いて波紋を描いているからではないかと私は発見しました。小さいすき間ですが、この建物全体が水の上に浮かんでいるのが唯一見える場所のようにデザインしています。こういうちょっとした境界の処理で庭というものは印象を変える好例といえるかもしれません。

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by pro_kawashima | 2018-03-21 15:51 | 庭の解説

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