解説09「妙心寺塔頭 退蔵院の庭」

京都市右京区の花園という場所にある妙心寺。
臨済宗妙心寺派の総本山で塔頭が46もあります。敷地内はお寺が集まる町といった雰囲気です。
そうした塔頭の中でもこの退蔵院は1404年に建立された古いお寺であるとのことです。

※ちなみに同じ臨済宗でも京都五山(南禅寺、天龍寺、相国寺、建仁寺、東福寺、万寿寺)は時の政府に保護された寺で、妙心寺派や大徳寺派は市井で信者や檀家の支持を集めたいわば庶民派のお寺だったようです。

さて庭ですが、ここには時代もタイプも違った庭があってとても興味深い場所となっています。

まず有名なのが、室町時代に一世を風靡した絵師集団の長、狩野元信がつくったと伝えられる庭。
通称「元信の庭」。

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絵師は絵を描く時に、頭のなかで風景をイメージしてそれを絵にしていたといいます。要するに、写生ではなくて、「描きたい風景」をデザインして絵にしていた様子。そうした風景を庭として表現したのがこの庭であるようです。

私は何度もここを訪れていますが、通常時期の参拝客と同じようにこの庭を手前横からしか鑑賞したことがありません。この角度から見ると、この庭の絵画的な構成がいまひとつよく分かりません。

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特別公開の時には、この庭の正面を建物の中から拝観できるそうです。ネットにある写真をみてみると、その絵画的な構成が大変見事であることがわかります。面白いことに建物内部から庭をみると実際の庭が「襖絵」のように見えるようです。これは「風景が変わる絵」のような効果を生むのではないかと思います。ここはぜひ一度正面からみたい庭です。

「元信の庭」を鑑賞して少し歩くと、別のエリアにはいる門があってしだれ桜の大木があります。この桜を挟んで左に白い「陽の庭」、右に黒い「陰の庭」が現れます。陰と陽ですから、その対比に興味が向くのですが、こちらの副住職が書かれた著書によると、むしろ善と悪、表と裏といった単純な対立を嫌った「不二(ふじ)」という考え方がテーマであるそうです。特に黒い砂の庭に惹かれます。

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この陰陽の庭を過ぎると、大きな池のある庭へと出ます。こちらは「余香苑」といって、昭和の作庭家、中根金作氏の作庭。禅のお寺にこうした自然風景式の庭があることは稀です。さいごにこんな場所があるとは意外であるし、気持ちがとても安らぎます。

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またここには、水琴窟もあって大変よい音が鳴ります。
水琴窟は地中に埋めた瓶(かめ)に水滴が落ちるときにその音が反響して聞こえてくる趣向のものです。
庭を耳(聴覚)でも楽しめる日本庭園独特の発明のひとつです。

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by pro_kawashima | 2018-03-19 17:57 | 庭の解説

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