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解説03「円通寺の庭」

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京都北山通りを更に北。長い坂道をタクシーに揺られて最初にこの庭を観たとき、この長い道行きの訳が一瞬で分かった気がします。

この庭を最初に見たときの感動は見た者でないと分かりません。
広い苔の庭。水平に伸びる生け垣。そして杉木立の間から青く見える比叡山。

手前に庭のひとかたまりの空気があって、その奥に広大な谷(人里)の空気があって、山を青く見せている。これだけの奥行きのある風景を、これだけ奇麗に見せるには、どれだけ場所を探したであろうかと思いを馳せます。

日本庭園の偉大な手法のひとつである「借景」のことを、やや強調して「風景の生け捕り」と言うことがありますが、まさにここでは風景が生きたまま取り込まれています。見ている数分の間にも陽射しの明暗で景色が変わります。雨が降ったらどう見えるのか?雪の日は?とイメージがどんどん広がります。

変化する風景=「生きた絵」のようだと誰もが思うでしょう。杉の幹が絵の構図のように効いています。母屋の柱までもが風景のフレームとして活躍します。

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西暦1640年頃、玉淵(ぎょくえん)というお坊様が作庭したと、庭園研究家で作庭家の重森三玲氏が書いています。
氏によるとここの見どころは玉淵ならでは枯山水の石組みであり、借景は作庭当時は手前の森林で止まっていたと書いておられます。
(京の庭を巡る/重森三玲著より)

びっくりです。この借景のためにこの地を選んだ訳ではなかったようなのです。
そういわれて見ると、手前の庭の石組みはおとなしいですが、渋くリズミカルです。苔庭ですので枯山水という感じがしませんが、水のない山水表現であるのなら枯山水です。

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もともとは借景のための庭ではなかったにしても、いま現に素晴らしいものであることには揺るぎがありません。
昔は写真撮影禁止の場所でしたが、今はこの景観を守るために、写真OKとなっているようです。
確かに写真でSNS映えはしますが、実際に見ないと何も分からない。その位行く価値ありの場所なのです。
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by pro_kawashima | 2018-03-10 03:08 | 庭の解説

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