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解説01「無鄰菴の庭」


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無鄰菴は、明治29年(西暦1896年)に出来た庭園です。
今から120年余り前です。

この庭の他にない特徴は大きく三つ。
1)琵琶湖疎水を庭に引き込んだ「流水」の庭であること
2)東山を借景として取り込んだ庭であること
3)芝生の広場のある西洋的で近代的な景色を造っていること

これらはほぼ定評です。無鄰菴のホームページからも引用しました。

ここから先は私の解釈も入ります。
この庭の風景は明るいです。広い水面と芝生の広がりがあるからでしょう。
日本の庭は、理想の自然を求めて、真似て造られています。
時代時代によって、どのような景色が理想郷なのかが表現されます。

平安時代には、寝殿造りの屋敷の庭のような、平らな庭が理想だったのかも知れないし、
西方極楽浄土を夢見て、大陸中国的な自然が理想とされたのかも知れません。

室町時代、桃山時代、江戸時代と、理想とされる自然のモデルは、時代の無意識とともに変わってゆきます。

それでは、文明開化も成熟した明治の中頃、理想とされた「新しい風景」とはどのようなものだったのでしょう?
私は、それが、この無鄰菴の景色ではなかったかと思いを馳せます。

明るく輝く穏やかな水の流れと、青々とした芝生の緑。
奥にはモミジなどの古き良き日本の景色もあって、遠くは東山まで広がっている。

ここに来て、なにかくつろいだ気持ちになるのは、近代から現代に至る時代の空気と我々の感覚が近いからではないかと思います。

何かとても古いものを見てしまった困惑や、到底予想もできない悲哀や歓喜を表したような庭とは違って、今の私たちの庭、好きな自然のカタチを上手に示してくれています。このまま我が家の庭にできます。

もはやここでは、日本庭園の形式は捨て去られ、日本の庭のコンセプトが体現されています。
日本の庭のコンセプトとは、すなわち、理想の自然の創造です。

この庭の優れたところは、まだまだたくさんあるのですが、それは現地でお話できたらと思います。

当ガイドツアーの最初のプランの最初の訪問地にこの無鄰菴を選んだ訳が分かって頂けたら嬉しいことです。

※現在参加募集中/春ガイドツアー01
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by pro_kawashima | 2018-03-07 22:14 | 庭の解説

素晴らしい京都の庭園。プロのガーデンデザイナーがガイドします。1日1組限定。お1人様でも大丈夫です。京都の庭をより深くじっくりと味わいたい方向け企画です。各プランに設定期間がありますのでご注意下さい。お早めのお問い合わせとお申し込みをお願いします。こちらのメールまで。juka@d2.dion.ne.jp リンクフリーです!


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